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Dr.伊東のビューティーコラム

伊東充隆 (いとう みつたか)
1960年生まれ。


東邦大学医学部卒業。
東京女子医科大学 腎臓病総合医療センター外科に勤務。
その後、心療内科を経て、2005年 I Medic & Art 開設。

西洋医学と様々な代替医療やセラピーを統合した形で、人間の身体−心理−社会−実存を包含した全人的医療を展開している。
伊東先生

  ■ vol.5 健康も美容もゆとりから(オパールネットカフェ vol.84掲載)
■ vol.4 ガンになったら、どうしますか?(オパールネットカフェ vol.82掲載)
■ vol.3 続・心身の支点磨き(オパールネットカフェ vol.80掲載)
■ vol.2 心身の支点磨きの勧め(オパールネットカフェ vol.78掲載)
■ vol.1 上手なストレスとの付き合い方(オパールネットカフェ vol.76掲載)

vol.5 健康も美容もゆとりから
現在市場では、健康に関する分野も美容に関する分野も、様々な商品や方法論で溢れています。しかも、両分野とも何かがブームになり、そしてあっという間に去っていくという状況です。この大量の情報とブームの慌ただしさを目の当たりにすると、目が回りそうになります。
情報化社会の中にあっては、他のすべての分野においても同様なことが言えますが、皆、よりよいモノ、よりよい情報を求めて飢えています。
何かがおかしいと感じませんか?
情報優先、モノ優先的な生き方、心の構え方をしていると、例えその情報やモノがどんなに素晴らしいものであっても、結局は満たされない気持ちになってしまうものです。その求めたる情報、モノを得ることによって本当には何を得たいのか?を一度立ち止まって、よくよく考えてみるといいと思います。
それは、情報でもモノでもない目には見えないものではないでしょうか?
昔、知り合いの免疫学を研究していらっしゃったある大学の教授が、面白い実験をしました。健康によいと言われているサウナは、本当に免疫力を上げるかどうかを実験したのです。結果はどちらだったと思いますか?
サウナに入っている間は、やはり高温多湿という物理的なストレスが掛かるので、一旦は皆免疫力が下がったということです。そしてサウナから出た後で、ある一群の人々と他の群の人々とでは、大きく差がでました。
健康のためではなく、ただサウナが好きで入っていた人々は、サウナから出た後でグッと免疫力が上がったのですが、好きではないが健康のために我慢して入っていた人々は、免疫力が上がらなかったのです。
つまり、同じモノや同じ方法でも、それを使う側やる側の考え方、感じ方によって、結果は全く変わってきてしまうということです。どんなによいモノであっても、〜ねばならない、〜すべきだ、という考え方と心の構え方では上手くいかない事が多いのです。
医学の進歩の中で、精神神経免疫学(PNI)という分野があります。医学の目覚ましい進歩は主に、神経は神経専門、免疫は免疫専門というように、すべてタテ割りの専門分野の中で成されてきました。しかし、これらすべてを横に繋いでいく研究や知恵は、なかなかありませんでした。この精神神経免疫学は、そのような横に繋いでいく知恵の一つだと思います。
この研究の中で分かってきたことは、脳・神経系と内分泌系と免疫系は、それぞれ独立して働いているのではなく、神経伝達物質、ホルモン、サイトカインといった分子の言葉を介して、お互いに話し合い、フィードバックし合いながら心身のバランスを取っているということです。
誰でも、心のありようが健康や美容に影響を与えることくらいは知っていると思いますが、影響というよりも、身体は思考や感じている事の立体映像だと言ってもいいくらい、表裏一体であるということです。何かを考え、感じる時、それは頭の中でだけ起こっているのではなく、それにふさわしい神経伝達物質が作られて全身の血流を巡っているのです。
このことからも、健康も美容もまずはゆとりを持とうと考えて、少しでもそう感じ始めると、まずそのリラックスに応じて血管が広がり血流が良くなり、心地良さにつながる神経伝達物質が作られます。そこに健康や美容によいと思われるモノや方法を取り入れることで、それらが生かされ、更に心地良く楽しくなる訳です。よいことが更によいことを生む好循環になっていくのです。
この好循環が作られる始めの一歩は、情報やモノや方法論ではないのです。
目には見えないゆとり感、満たされたエネルギーなのです。そして、実はそれが求めているものなのですが、ぐるりと回って戻ってみないと、腑に落ちないものですね。
そこで、ここでは皆さんにそれが分かるコツを伝授したいと思います。
日常生活の中でやって来る様々な情報やモノ、コトの背後にあるエネルギーを意識的に感じてみる練習をするのです。
難しい事ではなく、情報やモノ、コトの背後の空気を読む感じです。例えば、誰かに何かを言われた時に、言葉が伝えてくる情報だけではなく、その言葉がどんなエネルギーに乗って運ばれて来たかを感じてみるのです。
愛情や感謝のエネルギーなのか、恐れや不安のエネルギーなのか・・・そういう目には見えないエネルギーに意識を向ける練習をしているだけでもゆとりが広がって行きます。ここで大切なのは、感じられたエネルギー感覚を良いとか悪いとか判断しないということです。そうは言っても、つい判断してしまうものですが、その時は、ああ判断したな〜と気付いて、ただ流して下さい。
この練習を淡々と続けていくと、あらゆる情報、モノ、コトの周りにスペースが生まれて、ゆとりを持って対処できるようになっていきます。
そうなってくると、自然に情報優先からエネルギー優先に変わって行き、例えば健康や美容に関してのブームに惑わされず、長く愛される本物を手にするようになり、それを楽しみ、好循環が生まれてくるようになって行きます。

vol4 ガンになったら、どうしますか?
最近、ガン治療に関するセカンド・オピニオンを求めてやって来る患者さんや家族の方が増えています。私自身の周りにもガンになったり、再発したりした人が、立て続けに出ました。皆さん自身、そして周りの方々はいかがでしょうか?
そして、実際にガンになったら、どうしますか?
1981年以来、日本の死因のトップは、ガンです。2位が心疾患、3位が脳卒中です。日本は、ガン大国とも呼ばれ、非常にガンが増えているような印象を持たれがちですが、実際は公衆衛生や医学の進歩によって他の病気で死ぬことが少なくなったのと、何より長生きになったので増えた様に見えるだけです。同じ年齢でみれば、ガンは増えてはいませんし、他の国よりガンになり易い訳でもありません。ですから、変に恐怖を煽り立てる様々な情報に惑わされないようにしたいものです。
しかし、今だにガンは難治性のやっかいな病気であり、西洋医学の三大療法(手術、抗癌剤、放射線)に疑問を持ち、他の自然療法や代替療法を模索する人々が増えているのは事実です。一番増えているのは、ガンの原因にしろ治療にしろガンにまつわる情報です!この情報に翻弄されて、本人も家族も疲弊し、混乱しているのを何度も見て来ました。ですから、今回ここでお伝えしたい事は、情報ではなく態度です。ガンになった時にどのような態度でいると、いい流れがやって来るのかという事です。
以前、あるガン患者団体の顧問をしていらっしゃる先生にお話を聞いたことが、とても印象に残っています。「自分の所に訪ねて来て、どうしたらいいんでしょう!と、依存してくる人は皆亡くなってしまった。しかし、自分で治す意気込みを持って勉強していて、訪ねて来ない人は、治っている人が多い。」
これは、とても示唆に富んだ話だと思いました。恐れと不安から治すための情報を求めて、自分のパワーを人に預けてしまうと、たとえいい情報でも恐れの方が実現してしまうのです。それに比べて、恐れや不安にちゃんと直面して、それでも尚生きようという意欲を持って自己責任を取ってガンに臨んでいる方は、治す事よりも生きることの方に意識が注がれているので、結果治ってしまう事が多いのです。
同じ情報で同じ治療や養生をしていても、態度によって結果が変わってまいります。
次に、お伝えしたい話は、私自身が顧問をさせてもらっている、あるガン患者団体での話しです。この団体は非常に面白く、よくありがちな治すための情報はほとんど話されていません。いつも笑いに満ちていて、普通の人よりも元気な方々が多いのです。初めて来る方は、来た時は不幸な顔つきでも、帰る時には笑って帰ります。正に、ガンに対する態度が変わるのです。
そこに最近、末期の肺ガンで胸水も溜まり、痛みがひどくて苦悶の表情が続いていた母親の側に、付き添っていた娘さんが会にいらっしゃり、話された事です。いいと言われる様々な療法やサプリをやれる限りやってみたけれど、よくなるどころか、息も苦しく苦痛に喘いでいる母を目の前にして、もう何も出来ないと途方に暮れた時、以前から覚えていた般若心経を唱え続けたそうです。
それも、そうしようという意図からではなく、やむにやまれずそうしていたと。するとしばらくして、苦痛に喘いでいた母が静かな表情になって眠り始め、目尻からは涙が流れているのが見えたそうです。それから何日か眠り続け、目が覚めた頃には、なんと胸水は引き、腫瘍も徐々に小さくなって行ったので、担当していた医者は、全く信じられないと言っていたんだとか・・・
ガンの奇跡的治癒というのは、稀ではありますが、確かに存在します。さてここで、治す情報にしか意識が向かっていない人は、この話を聞いたら早速、般若心経を唱え始めるのではないでしょうか。ありがたいお経ですから、それはそれでいいのですが、それでは要点をはずしてしまっています。奇跡を起こしたのは、お経という情報ではなく、娘さんの無心の祈りだと私は思います。
無心という態度、これはとても大きなパワーを持っています。なろうとしてなれるものではありませんが、ガンという病気に直面した時、あらゆる恐れや不安に素直に向き合いながら、それを受け入れ、手放していった方々は、自ずとそのような態度になって行くようです。
無心までは行かなくとも、少なくともなるべくガンのことは忘れて、楽しい事や生き甲斐を感じる事を考えたりやったりすることは、免疫力も上がり、とてもいい態度です。注意しなくてはいけないのは、恐れや不安から逃げる為にこのような態度でいても上手くいかないということです。それでは、恐れの方が現実化してしまうからです。正直に恐れや不安の想念に気付きつつも、ゆとりを持って意識をガンから外すのです。しかし、ゆとりを持つという態度は、いざという時に突然そうすることはとても難しいことですよね。ですから、なるべく普段からゆとりを持って生きる態度を養うことが大切です。
最後に、ガンと闘わないという態度も大切です!これは、西洋医学を否定しているのではありません!闘わないとは、心身を閉じている孤立したものとして見ないという事です。閉じた中にガンがあると思うと、どうしても闘ってしまいます。心身を流れる生命は、ダイナミックに流れ続けていて、完全に開いたシステムですから、ガンを固定した静止したモノと見ないで、開いた流れのプロセスとして共生するのです。心地良いプロセスに移行するための助けとして、西洋医学的治療やその他の様々な養生をするのだと見るのです。自分の心身が開いていると気付けば、闘う必要はなく、ただ流れて行くのみです。
すると、自然に平安を感じ、ゆとりが生まれます。

vol.3 心身の支点磨きの勧め
さて皆さん、自分独自の支点磨きを考えてみましたか?そして、それを実践していらっしゃいますか?何を言っているか分からない方は、前号から読んでいただければ分かると思います。
心も身体も満たされて楽に生きて行く為には、心身共にバランスが大切であり、その為には一つ一つの現象・症状や問題などになるべく囚われないように心掛けながら、内なる支点磨きをしていきましょうという話をさせてもらいました。日常の些細な物事をなるべく丁寧にあじわうこと、楽しむこと、感謝すること、なるべく自然の中に身を置くこと等々。そう言えば、あの解剖学者の養老 孟司先生も、1日に1度は人間の作ったものではない自然なものを見た方が良いというアドバイスをされていた事をどこかで見た記憶があります。とてもいい支点磨きの方法ですよね。その時は、何も考えずに我を忘れてボーッと出来れば最高です。そして、支点磨きの一番のお勧めは、前号でもお話しさせてもらいましたが、ただ、幸せでいてみることです。
これが、多くの大人にとっては、簡単じゃないんですよね!
何故だか分かりますか?幸せを感じるには、その為の原因、理由が必要だと思い込んでしまっているからです。それも、無意識のうちにそう信じ込んでしまっているので、その事を疑うこともありません。私達は、自我の成長と共に親や兄弟だけでなく、様々な人々との関係性を持ち、社会との関係性を持ち、そうしてあらゆる対象物(人、モノ、コト)を通して「私」という存在を実感し、価値判断をして、快・不快、幸・不幸を感じていきます。この構造ができあがってしまうと、もはや幸せはその原因となってくれる対象物(人、モノ、コト)に依存してしまう訳です。運良く幸せを感じられる対象物を得ても、諸行無常のこの世界では、すべてが変化していってしまいます。その対象物が去ってしまうと、幸は一転して不幸へと変化してしまう体験を私達大人は、沢山していますよね。そしてまた、幸せを感じさせてくれる対象物を探し求める訳です。
次に目を向けられるならまだましですが、去ってしまったものに囚われたままですと、その人は過去に生きることになり、更なる不幸の中にドボンと落ちてしまいます。
対象物(人、モノ、コト)って、もう何の事だか分かりますよね?
分からない人は、これが無くなったら困る、恐ろしい、嫌だ〜!と思っているものを考えてみれば分かります。それは、家族、恋人、友達などの人だったり、衣食住を成り立たせているすべての物、お金などの財産、自分の身体、自分の美貌(笑)などのモノだったり、仕事や地位や名誉、自分の信念、価値観などのコトだったり、様々です。
もっと突き詰めて洞察していくと、形あるものであれないものであれ、認識できるものはすべて対象物であることが分かります。そしてそれらを通して人間は「私」という存在を実感し、快・不快、幸・不幸を味わうのです。ですから、これら認識できる対象物の世界はみな原因と結果の法則によって成り立っているので、幸せもまた当然原因が必要だと、「私」は思い込んでしまう訳です。対象物と「私」とは、実は同じコインの裏と表の関係なんですね。
話が大分難しくなってしまいましたが、「私」と幸せの背後に隠れている構造をある程度知的に理解しておくことは、大事なことなんです。ざっくりとでいいので、この構造を理解するように努めて下さい!その努力は、報われますから。
ところで皆さん、幸せな時って「私」を忘れてたりしますよね!そして、不幸な時ほど「私」を強く感じませんか?もしくは、夜ぐっすりと眠った時、朝起きて、ああ、幸せだな〜と感じます。不幸な人も、このまま目が覚めなかったらよかったと思うほど「私」が不在の眠りを恋しく思います。(笑)
誰もが、心身共に忘れ去る深い眠りを幸せだと感じるのです。これこそ、ただ幸せでいることの秘密なのです。だからずっと眠ってろと言っている訳ではありませんから、誤解しないで下さいね。
対象物から得られるある種の刺激や興奮状態を私達は往々にして、幸せだと感じているのです。興奮は、必ず醒めます!これが悪いと言っているのではありません!人生のあらゆる状況、対象物をどうぞ思う存分に楽しんで下さい!
悪いのは、これらが無くなってしまったら不幸になるという思い込み、恐れなのです!確かに悲しみはやってくるかもしれません。しかし、その奥深く基底には、静かな平安、ただ幸せがあるのです。
前号で、自分を人生のあらゆる状況が展開されている海の上を波乗りしているサーファーだとイメージして下さいと言いました。落ちたら、不幸になるという思い込みと恐れの上で波乗りしているのと、深い静かな平安、ただ幸せの上で波乗りしているのとでは、どちらがリラックスして楽しめますか?
この深い静かな平安、ただ幸せでいることを知ることによって、不動なる支点が自ずと磨かれていくのです。どうでしょうか?支点磨きをしていく動機が少しでも強まりましたか?そうだといいのですが・・・
今回は、支点磨きをしてくれるとてもいい良寛さんの句を紹介して終わりにしたいと思います。
「 裏を見せ、表を見せて、散る紅葉 」
ゆっくりと、ただ3回、声に出して読んでみて下さい。
そして、しばらくただ静かにしてみて下さい。

vol.2 心身の支点磨きの勧め
前回は、上手なストレスとの付き合い方のお話をさせてもらいましたが、そのコツをつかんで頂くために、今回は違う視点から話を進めていきたいと思います。
身体にしても心にしても、はたまた仕事や人間関係にしても、バランスを取っていくことが大事だな〜と、皆さんは感じているでしょうか?
東洋医学では、陰陽のバランスが健康の要であると教えています。森羅万象のあらゆる現象の背後にこの陰(マイナス)と陽(プラス)の絶妙なバランスが働いているということです。つまり、心身の健康や、幸福感、安心感、仕事や人間関係の充実感や喜び等々、すべての背後でバランスという仕組みが働いているということです。
ちょっとイメージしてみて下さい。自分は、人生のあらゆる状況が展開されている海の上を波乗りしているんだと。私達一人一人が人生のサーファーだと想像してみたら、いかにバランスが重要かすぐに分かります。よそ見していたり、余計なことを考えていたら、あっという間にサーフボードから落ちて海にドボン!ですね!
今、上手く波乗りしているか、バランスが取れているかを知りたければ、それは簡単に分かります。今どれだけ、ただ幸せだと感じられるかを素直に感じてみる事です!大事なのは、「ただ」です。これやあれがあるから幸せだとか、この問題、悩みが解決したから幸せだというのではなく、理屈抜きにただ幸せ、喜びを感じられるかどうかです。ただ幸せでいられない理由があればある程、それだけバランスが上手く取れていないということです。
いかがですか?皆さんは、どれくらい上手くバランスが取れていますか?
それでは、上手くバランスを取っていくコツをお話していきたいと思います。
まず、両極にプラスとマイナスが乗っているテコをイメージしてみて下さい。テコの真ん中には、上手くバランスを取る為のテコを支えている支点があります。私達の多くが、バランスというと、意識的にしろ無意識的にしろ、プラスとマイナスが等量乗っていて、真っ直ぐに完璧に静止しているイメージを持ってしまっています。平行棒の上で綺麗に静止している体操選手みたいな感じです。まず、これを疑ってみて下さい。完璧に静止している綺麗なバランス像は、頭の中のイメージの中だけに存在しているものであり、実際の現実の中では、心身共に内側も外側も毎瞬毎瞬変化の波にさらされていて、留まることなく動き続けているのです。身体で言えば、内部環境をほぼ一定に保つバランス、これをホメオスターシス(恒常性の維持)と言い、自然治癒力が働く仕組みでもあります。
例えば、風邪を引いたらどうしますか?風邪薬をすぐに飲んでいませんか?
熱や咳など、症状が出たらすぐにバランスが崩れたと判断し、バランスを取るために薬に頼ってしまう訳です。実はこの考えは逆です!身体は勝手にバランスを取る為に熱や咳という症状を出しているのです。症状とは、バランスを取っているプロセスなのです。もちろん、自然治癒力の限界を越えてしまうようなケースでは、外からの助けが必要で、薬や時には手術もしなくてはなりません。しかし、ちょっとした症状でも不安になりすぐに薬を服用してばかりいると、微細にバランスを取り続けている内なるテコの支点がどんどん摩耗して、鈍感になってしまうのです!こうした事が起こってしまう背景には、先程言った完璧に静止しているテコのバランスのイメージがあるのです。このイメージからズレてしまうと、恐れが生じてすぐに元に戻そうと外の力に頼ってしまいます。自然治癒力を信頼して見守ることができなくなるのです。
この内なるテコの支点が、摩耗して鈍感になっている姿が、前回「上手なストレスとの付き合い方」でお話しした失感情症、失体感症です。これでは、ちょっとした波が来てもバランスを崩して海にドボン!ですね。
人生の荒波さえ上手く波乗りして楽しめるサーファーになる為には、波によって起こる現象や症状に囚われている事に気付き、そっと意識をバランスの中心である支点に置くことです。そして、支点を敏感にしておくことです。
支点を敏感にしていくには、日々の支点磨きが大事ですが、支点とは意識の視点、次に、心身の感性と言ってもいいものです。では、どうしたら支点磨きができると思いますか?
どうしたら上手くバランスが取れているかどうか分かるか、という所で話したように、ただ幸せでいてみるのです。ただ幸せを感じてみるのです。出来ないなら、女優、男優になったつもりで、ふりでもいいのです!そのうち、これが呼び水となって、本当になります。この、ふりでさえ出来ないという人が意外と多いのですが、そういう頑固な人はまず、日常の些細な出来事に目をやり、なるべくそれを丁寧に味わう、楽しむ、感謝するという事をやってみて下さい。
ご飯がおいしいな〜とか、道端のお花を立ち止まって丁寧に見て楽しむとか、空気のようになってしまった家族にいつもより丁寧に接してみて、言わなくてもいいから感謝するとか・・・それも無理なら、「その内なんとかなるだろう!」と言ってください。(笑)
皆さんも、自分で創意工夫して自分独自の支点磨きを考えてみて下さい。
それを考えているだけでも、支点は磨かれていきます。
もともと、人生という海に波乗りを楽しみに来たサーファーなんだと分かったら、幸も不幸も、ポジティブもネガティブも、両方あって当たり前、すべてよし!だと、自然に分かります。

vol.1 上手なストレスとの付き合い方
皆さんは今、どんなストレスをお持ちですか?美容・健康に関するストレス、人間関係に関するストレス、経済的なストレス…心理的なものから物理的なものまで様々なストレスがありますが、皆さんはそのストレスとどのように付き合っているでしょうか?
全くストレスなんてないという人も稀にはいますが、そういう人の周りにはストレスだらけの人が多かったりします。(笑)
そういうタイプの人の話しはさておき、情報過多に伴う時間の加速化現象が増大している現代社会の中で、いちいちストレスを感じている間もなく、周囲への過剰適応を強いられた結果、失感情症・失体感症になってしまっている人々が多いのです。失感情症は自らの感情に対する気付きが失われてしまっている状態のことを言い、失体感症は自らの体感感覚に対する気付きが失われてしまっている状態のことを言います。
つまり、ストレスを感じているうちはまだいいが、意識的にしろ無意識的にしろストレスを抑圧してしまい、心身共にストレスに対して無感覚になってしまっている人が多いということです。この心身の感受性の無感覚化、鈍化が増悪している結果、うつ、自殺、働き盛りの突然死、癌などの増加として現れているのではないかと思います。もちろん、それだけが原因で起こっている訳ではありませんが、大きく影響しているということは確かでしょう。
さて、もともとストレスという言葉は物理学の用語で、簡単に言うと「歪み」という意味を持っています。歪みがひどいほど、ストレス度が強いということです。それでは、心理的にせよ物理的にせよ私達がストレスを感じる時、何が歪んでいるのでしょうか?
人間は心身とも疲労困憊すると、普段はあまり関心がない人でも、海や山や自然の中に身を置きたくなる衝動に駆られます。しばらく自然の中に身を置いていると、心身共にリラックスし、元気を取り戻せることを本能的に知っているからです。つまり、自然な状態から歪んでしまっていることを私達はストレスと感じる訳です。自然な状態とは、ある効果に対して最もエネルギー効率が良く、最も楽に維持できる状態だと言えます。この状態から歪めば歪むほど、それを維持するためのエネルギーが浪費され、楽ではない状態なので疲れや不快を感じてしまうのです。ここで、そのストレスを素直に感じて、自然な状態へとバランスを取り戻せればいいのですが、先程も言いましたように、現代はそのストレスに対して鈍感になり、ついには感じなくなっている失感情症・失体感症の人々が多いのが実情なのです。そうなると、目に見える異常として現れるまで放っておかれてしまい、取り返しがつかない状態にまでなりかねません。
最近は、地球環境破壊への危機感から、エコブームになり、自然回帰、共生循環という概念がよく聞かれるようになりましたが、人間の心身の内部環境と地球という外部環境も密接につながり合い、シンクロしているということを感じてみる必要があるでしょう。
ですから余計に、今皆さん一人一人が、自分の心身の内部環境に素直に向き合い、バランスを取りも出して、様々なストレスと上手に付き合っていく視点を得ることは大事なことだと思われます。
さてそれでは、上手なストレスとの付き合い方とは、どんなものでしょうか。自然の中にしばらく身を置いて寛ぐことは、確かにいい方法ですが、なかなかそうできない人の方が多いのではないでしょうか。それと、煙草やお酒、過食や買い物や人間関係など様々なものに依存することで、ストレス解消している人々が大変に多いと思いますが、これはしばらくはいいでしょうが、ほぼ確実に中毒になり、更なるストレスと苦痛を生じる結果になりますから、いい方法とは言えません。
真のストレス解消とは、自然な状態に戻ることですから、ストレスを解消するために更なる余計なエネルギーを使うようでは、自然ではなくなってしまいます。
ここでは、いつでもどこでもできる上手なストレスとの付き合い方のコツをお伝えしたいと思います。まず、ストレスを与えるモノやコトをストレッサーと言います。
例えば、いつでもストレスを感じる人がいるなら、あなたにとってはその人がストレッサーという訳です。多くの人は、そのストレッサーの方に気を取られてしまい、ついそれを感じている当の本人の感じ方や考え方は忘れてしまっています。感じ方や考え方を変えれば、同じストレッサーでもストレスを感じなくなるのです。これに関する教えや本は沢山ありますよね。相手や目の前の状況は、自分の鏡なんだから、それを見せてくれていることに感謝して投影を取り戻すとか、ポジティブ・シンキングで考え方を変えるとか・・・これらの方法は確かに有効なことではあります。しかしここでは、それらとも違う視点もあるということを知ってもらいたいと思います。人間は、急性のストレスには意外と強いものなのです。何かの強い痛みや不快を感じても、それで過ぎ去ってしまえば忘れてしまい、すぐにバランスを取り戻せますが、それが長引いてしまうと慢性ストレスになり、たとえそれが小さなものであっても、大きなダメージになってしまうのです。これを智慧に変えるのです。つまり、すべてのストレスを急性のものと見て、慢性化させなければいいのです。ストレスを何とかしようとするのではなく、ストレスはストレスとしてあるがままに見て、そのまま終わりにして流して行けばいいのです。それは、「今ここ」に、しっかりと意識を据えるということでもあります。
出来る出来ないよりも、そうしようと強く想って練習することが大事です。 出来なくて当たり前くらいに想って、今までよりも少しだけ今ここにいられればいいやという気軽さで続けてみて下さい。きっと、心身とも軽くなって行きますよ。
 

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